川守政雄の心がほっとする話
川守政雄の心がほっとする話
HOME > その他 > 川守政雄の心がほっとする話

第一章 はじめてのさくらとの出会い

「さくらちゃん、中に入ってくれるかな」
そこで働いているお姉さんに呼ばれると、さくらは
「やだやだ!!さくらはおうちに帰る」
と一向に診察室に入ろうとしない。
お母さんが申し訳なさそうに、
「さくら、ほらっお姉さん困っているでしょ。さくらが歯が痛いっていったから連れてきたんだから、ちゃんと言うこと聞きなさい」
「え~んえ~ん。だって、怖いんだもん・・・」
結局、待合室で10分くらい経ってしまった。そこで、お姉さんは、
「さくらちゃん。大丈夫だよ。うちの先生は若くて優しいから、きっとさくらちゃんを安心させてくれるよ。はやく歯を治したいでしょ?」
「・・・うん。。。」
「だったら、お姉さんと一緒に中入ろう!」
「・・・うん。。。」
何とかお姉さんが説得した結果、さくらは渋々診察室に入り、イスに座った。
「さくらちゃん。こんにちは。はじめまして」
「こんにちは。」さくらは、少し安心した表情をしてあいさつをした。
「今日から僕がさくらちゃんの歯を治していくからね。歯医者さんは怖い?」
「うん。だって、キーンっていう音がするし、すごく痛そうなんだもん」
「少しずつお口の中のばい菌をやっつけていくから大丈夫だよ。一緒に頑張ろう!!」
「え~でも。。。やっぱり怖い」
「さくらちゃんは、ペットは何か飼っているかな?」
「うん。犬飼っているよ。名前は、“ルイ”っていうの!さくらがおねだりしてこの前の誕生日にお父さん、お母さんにプレゼントしてもらったの!」
さくらは、笑みを浮かべながら、答えた。
「そうなんだ。じゃあ質問ね。ルイちゃんがもしいつものように元気がなかったらさくらちゃんはどうするかな?」
「そりゃ心配になるし、病院連れていくよ。」
「じゃあルイちゃんがなかなか病院行きたがらなかったらどうする?」
「早く治さないと余計悪くなっちゃいそうだから何が何でも治してもらう!!」
「そうだよね。むし歯も一緒。早く治さないと、さくらちゃんの歯は余計悪くなっちゃうんだよ。そうなったら治すのも大変になっちゃうんだ。」
「それはヤダ!」
「でしょ?だったら、勇気をだして今頑張ろう!!」
「分かった・・・。でもあまり痛くしないでね。」
「よしっ!じゃあ今日から悪い菌をやっつけていくからね。少しでも我慢できないときは手を上げてね。」
こうしてさくらと先生は出会い、治療を進めていくことになった。そのとき、先生はふと幼少時代を思い返した。
(そういえば僕が歯医者になろうとしたきっかけは、子供の頃、歯医者によく通っていて、痛がったり、泣いたりしてばかりいたから、痛くない歯医者、子供を 安心させる歯医者になろうとしたんだったよな。さくらちゃんのように僕もずっと怖がってたもんな。よし!さくらちゃんを安心して通わせることができるよう に努力しよう。これが出来たら僕も一人前の歯医者だ!)

~第二章に続く(お楽しみに)~

pagetop